元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
「デマール家に薬物をもたらした売人は捕まりましたが、その出どころはわからずじまい。人身売買に関してもいったい誰に対して商売していたのかは謎のままですし、あれだけのことをマルガリータ・デマール一人でやったとは考えにくいので、絶対に協力者もいるはずです」
この国の捜査機関がそれらを突き止めることは正直期待できない。
シエラとしては、関わったからにはこれからもこっそり捜査を進めていこうと考えている。だがその考えは一瞬でルシウスに見透かされた。
「深入りはしないでくださいね。こういったことに関わる人間は君が考えている以上に危険ですよ」
「で、でも……」
「でもじゃないです。身の程をわきまえるように」
全く納得はできていないが、シエラは仕方なく「はい……」と返事をする。
それから、広げた手紙を片付けて立ち上がった。それを見たルシウスが不思議そうに首をかしげた。
「おや?もう帰るんですか?」
「はい。今日はちょっと用事がありまして」
「また新しい依頼でも?」