元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
うーん、と考え込むレオン。しばらく同様に考え込んだルシウスだったが、やがて本棚から地図を取り出して広げた。
「この辺りがラドクリフ侯爵領です」
「ふうん。結構広そうだね」
「うちとは取引をしていませんが、今のところ特別悪い噂を聞いたことはありません。ですが、こういった貴族の中で清廉潔白なのなんてほんの一部。詳しく探れば、大なり小なり何かあるはずです」
ルシウスはそう言ってにやりと笑う。謎が解けたとき、もしくは何かを企んでいるときの顔だ。
「こちらで調査してダグラス家当主に報告し、『いくら上位貴族でもこんな家に娘を嫁がせるわけにはいかない』と思わせれば良いのですよ」
「……なるほど。でも、本当に清廉潔白な可能性もあるんじゃない?」
「場合によっては何か悪事の証拠を仕立て上げるのもありですかねぇ。そういうのは得意なので」
「うわあ……ルシウスさんってこの国で敵に回したくない人ナンバー1だよね……」
「褒め言葉として受け取らせてもらいますよ。あとさすがに冗談ですからね」