元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
ルシウスを引き取った男は、女性を愛することができず子どもがいなかったため、優秀な子どもを養子に迎えるべく探していたのだと言った。
特にこの世界でやりたいこともなかったルシウスは、素直に商会の後継者としての教育を受けることにした。経営というものはしっかりと勉強したことのなかったものだったので、意外と面白かった。
そして勉強するうちにすぐ商会の経営についての最適解がわかるようになっていき、孤児院にいた頃よりも油断して、子どもらしからぬ視点から養父に意見を出すようになった。
養父は細かいことを気にしない性格で、そんなルシウスを特に気味悪がることもなく、純粋に天才児を引き取ることができて幸運だと思っていたようだった。
ルシウスが経営に口を出すようになって以降、クレイトン商会の業績は目に見えて上がっていった。
16歳にもなると、商会の中で養父に次ぐ地位になっていた。
そしてその頃、わかったことがあった。
ルシウスは、黒瀬蒼也と同じくらい、女性受けする整った顔をしている。