元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
「ご苦労様でした。それで結果は?」
「屋敷には結構な人数の人が出入りしてたよ。僕が見た時に特別怪しいなって人はいなかったけど」
レオンは、ラドクリフ侯爵の屋敷に出入りしていたという人の中から、話しを聞いて素性が判明した人物の名前を挙げていく。
特に黒い噂があるような気になる名前はない。
「……なるほど、わかりました。引き続き調べてもらえますか」
「了解。……あ、そうだ。あそこの辺りってさ、あちこちに同じ花がたくさん咲いてたんだ。ほら、こんなの」
そう言ってレオンが見せたのは、湿らせたハンカチで切り口を巻いてあるものの、かなり萎れてしまった赤い花だった。
「これはポピーですね。あの辺りの特産ですよ」
「へえ。あとたぶんこのポピー?の仲間だと思うんだけど、こんなちょっと違う雰囲気の花も咲いてた。こっちは道端に咲いてたわけじゃなくて大事に育てられてる感じだったけど」
また同じように取り出したもう一つの花。
確かにポピーの花と似てはいるが、色や花弁の枚数、葉の形などが少しずつ違っていた。