元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。



「隔離して大切に育てられていたという話からして、まず間違いなく薬物を作る目的で栽培していたのでしょうね。たくさんのポピーが咲いている近くによく似たこの花があっても簡単には気付かれないでしょうし、万が一植物に詳しい者に咎められても、似ていてわからなかったと言い張れるでしょう」



 まさに、木を隠すなら森の中、ポピーの近縁種を隠すならポピーの中、といったところか。



「何か小さな綻びでもあればと思っていたのに、ずいぶんと大きく危険なものが出てきましたね。トカゲを捕まえるつもりで草むらに入ったら、思いがけず毒蛇を見つけてしまった気分です。……それにしても、また薬物ですか」



 シエラが依頼された殺人事件の被害者、マルガリータ・デマールはどこかのルートから仕入れた薬物に依存していた。費用を捻出するため人身売買にまで手を出していたのだから相当だったのだろう。

 そして今度は、求婚してきた男に薬物製造疑惑が出てきた。



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