元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。


 屋敷の外でタイミング良く通りがかった乗り合い馬車を見つけて乗り込んだ。


 目指すのはシエラの住むダグラス家の屋敷。


 イライラしながら目的地へ向かうこの感じに何か既視感があるなと思い考えてみたら、前世で誘拐された静奈の元に向かっているときの気分にそっくりだと気が付いた。


 縁起でもない。頼むから何事もなく家にいてくれ。


 ──マルガリータ・デマールが使用していた薬物を製造し、売りつけていたのはラドクリフ侯爵だ。
 このタイミングで求婚したのは、マルガリータの事件に関わり薬物のことを明らかにしたシエラを監視するためだろう。


 シエラに会ってすぐにこの可能性を伝えなければならない。



 しかし無常にも、ダグラス家に到着したルシウスに対し、使用人はシエラがラドクリフ侯爵の元へ行っているという旨を告げたのだった。


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