元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。



 ムッとして言い返せば、ルシウスの口元に嫌味っぽい笑みが浮かぶ。



「ほう。しかし、隙を突かれてあっさり捕まっていては世話ないですねぇ。俺が偶然見つけて起こしていなければ、彼らは最後まで役立たずのままでしたよ」

「うっ……ていうか!そう、それも聞こうと思って!侯爵は一日は目覚めない薬を使ったって言ってたのに、どうやって衛兵たちを起こしたんですか?」

「ああ、うちの商会で最近買い付けた気付け薬を試しに使ってみたんですよ。あの通り効果抜群です。何でも、とある国のハーブティー好きの王妃が、自分に嫌がらせをした人たちに飲ませて仕返しをするために開発した薬草茶が元になっているのだとか。身体には良いらしいですが、味も匂いも酷いそうで……飲んでみます?」

「い、いえ、遠慮しておきます」



 仕返しのために不味い薬草茶。可愛らしい仕返しのような気もするが、気付け薬になってしまうぐらいの味なのだとすると全くもって可愛くない。




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