元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
からかわれているのだろうかと思った。
黒瀬は、静奈に想いを寄せられていたことに気付いていたはずだ。だから、からかっているのだろうと。そうでなければ、こんなことを普段の調子で平然と言えるはずがない。
しかし、顔を上げて恐る恐る顔を確認すると、彼の耳が真っ赤になっているのがわかった。
ルシウスは視線に気づいたのか、顔をそむけて言う。
「っ……あまり見ないでもらえますか。こういうことを言うとき、どんな顔をしたらいいのかわからないのですよ」
「ほ、本気なんですか?本当に私のことを……?」
「というか、君から言い出したくせに疑うのはおかしくありませんか?」
「だって、あんな風に必死に助けようとしてくれたからもしかしたら……って思っただけで、まさか本当にそう思われてるなんて……しかも前世からずっとって……さすがに疑いますよ」
「まあ、前世では意地でも言いませんでしたからねぇ」
ルシウスは、ふっと力を緩めるように笑う。