元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
「では、これまで俺がどれだけ君のことを想っていたか、この世界で君に会えてどんなに嬉しかったか、詳しく教えましょうか」
かああっと、さらに頬が熱くなった。
黒瀬が静奈のことを好きだったという事実だけで大混乱なのに、そんな話を聞いたらキャパオーバーになる気配しかしない。
というか、ここまで言われたら自分の気持ちも言わなければならない気がしてきた。ただ──正直、答えは出ていなかった。
「前世の私は確かに黒瀬さんのことが好きでした」
「……おや、過去形ですね。今の君にその気持ちはないということですか」
「わからないんです。ルシウスさんといるとき、妙にドキドキしたり、ずっと一緒にいたいと思ったり、黒瀬さんに恋をしていた時に似た感覚はあります。だけどそれは、静奈の記憶に影響されているだけで私の気持ちではないんじゃないか、ルシウスさんのことを黒瀬さんとしてしか見られていないんじゃないかって思ってしまうんです」