元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
「あの。私、一年後……じゃなくて半年後?期待してますからね」
シエラは小さな声で言った。そして、昨日ルシウスが「一番似合う」と言ってくれた笑顔を浮かべる。
するとルシウスはそれに応えるように、そしてさっきのお返しだとでもいうように、シエラの額にキスを落とした。
──前世では探偵とその助手。
何の因果か、二人してその記憶を持ったまま、この世界で再会した。
前世では踏み出せなかった一歩を踏み出したこれからは、お互いの存在と少しの謎さえあれば、間違いなく輝かしいものになる。そんな予感がしていた。
-fin-