元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
目が隠れるぐらい長く伸びた真っ黒な前髪を耳にかけ、黒瀬はにやりと笑う。
その言葉で不快感を顔に出した松坂警部に、静奈は心の中で謝る。ごめんなさい、この人嫌味言うか謎解いてるかしてないと死んじゃうんです。いつもご依頼ありがとうございます。
そんな警部が出て行った後、黒瀬はその暗号を暇つぶしに雑誌でも眺めるかのような軽さでパラパラと見る。そして一通り確認し終えると、すぐに手近にあった白紙に何かを書き始めた。
「黒瀬さーん。暗号解けそうですか?」
まさかそれほど早くは解けないだろうと思って聞いたのに、黒瀬はあっさりうなずいた。
「解き方の検討はついていますよ。警部は難しく考えすぎのようですねぇ」
「嘘でしょ?どうやって解くんですか?」
驚いて黒瀬の手元をのぞき込む静奈に、彼は丁寧に解き方を説明してくれた。だが残念ながら静奈にはさっぱり理解できなかった。
そんな静奈の反応を見た黒瀬は盛大にため息をついた。