元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
そんな手紙であったにもかかわらず……シエラは何故か、この依頼は絶対に受けなければならないような気がした。
探偵としての直感と言うべきか。探偵というより探偵助手であるシエラのそんな直感が当てになるのかと聞かれれば微妙だが。
手紙には親切に地図も挟まっていた。その地図の下には、なるべく依頼内容を知る人を少なくしたいので、使用人を連れてくるのは送迎時のみにしてほしいとの要求がメモ書きのように書かれている。
地図以外の便せんを封筒に戻し、シエラは小さく呟いた。
「……行ってみよう」
○
「シエラお姉さーん」
要求の通り、シエラは目的地の付近で馬車を降り、一人で地図を頼りに建物を探していた。
そこで聞こえてきた元気の良い声。振り返ると、レオンが嬉しそうな顔でシエラに手を振っていた。
「レオンくん」
「わー!また会えて嬉しいよシエラお姉さん!ルシウスさんの依頼で来てくれたんでしょ?こっちこっち!」