元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。



 レオンは人懐っこい笑顔を浮かべてシエラに駆け寄ると、手を掴んでグイグイと引っ張った。そしてすぐ近くの建物の前で止まる。



「ここがクレイトン商会の本部だよ!でもってルシウスさんと僕の家」



 あのクレイトン商会の本部というからずいぶん立派な建物を想像してしまっていたが、住居を兼ねているにしてはこじんまりとした屋敷だった。

 それでも庶民の家にしては大きめなのは確かだ。シエラはレオンに連れられるがままに建物の中に入っていき、ある一室の扉の前で止まった。



「ルシウスさーん。シエラお姉さんが来てたから連れて来たよ」



 レオンがそう言いながら扉をノックすると、扉はゆっくりと開いた。


 扉の向こうには一人の男がいた。その顔を見て、シエラは無意識に息を止めた。

 白い肌に吸い込まれるような青い瞳を持つ、目が覚めるほどの美形。背は高くて細身だが、ドアノブを握る手は大きくしっかりとしている。

 歳は二十二、三といったところで、この前遠くから見た、レオンの待ち合わせ相手だった人物に間違いない。


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