元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
こんなことを聞いて「実はこの手紙の内容は本当で、自分が先代を殺しました」などと答えるはずはないが、反応を見るために一応。
しかし反応を見ても、嘘をついているかどうかなど全くわからなかった。ルシウスは不躾な質問にも気を悪くした様子は一切見せず、微笑を浮かべたまま答えた。
「もちろん。もしこの手紙に書かれていることが本当なら、貴女に依頼なんてせずひた隠しにしているはずでしょう。……ああ、そう思わせるためにあえて依頼をしたという可能性も捨てきれない?」
「……いえ、本当に形ばかりの質問ですので。依頼人であるルシウスさんのことを信用して調査を進めさせて頂きます」
何故だろう。この男、人の良い笑顔を浮かべているはずなのに感情が読めない。それどころか、得たいの知れない何かに睨まれているような恐怖すらも感じさせる。顔が整いすぎている故だろうか。
そこまで考えたシエラだったが、いや違う……と考えを改める。