元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
レオンはシエラのよく知らない商会だったり店だったりの名前をいくつか挙げた。
一応全てメモを取ったが、あの手紙はそれらの人たちによるものにしては違和感があるような気がした。
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シエラが最後に話を聞いたのは、先代が若い頃からずっと共に商会を支えて来たという老人、ジョシュアだった。
「ご令嬢は、薔薇の花はお好きですかな?」
ジョシュアは部屋に入るとき、花瓶に生けた赤い薔薇を持ってきた。
シエラは特別花が好きだというわけではないが、その薔薇の立派さには思わず手を叩いた。
「すごい!綺麗な薔薇ですね!」
「今朝、贔屓にしている花屋で売っているのを見つけましてな。見ての通り味気のない部屋ですが、花があるだけで一気に明るくなるでしょう」
「本当ですね。ジョシュアさん、花にはお詳しいのですか?」
「とんでもない。店で買った花をこうして生けて部屋に置く。先代が若い頃からずっとそれが習慣になっているというだけですよ」