元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。



「大丈夫ですか?」



 そうこうするうちに、ルシウスからティーカップが渡された。

 シエラは紅茶を一気に飲み干し、ぜえぜえと息をした。



「死ぬかと思った……」

「すみません。水分が少ないお菓子だからむせないように気を付けてと先に言っておくべきでしたね……ふふ」



 ルシウスは堪えきれなくなったのか、死にそうな顔のシエラを見て少し笑った。人が苦しんでいたのに何が面白いんだ。

 シエラはルシウスを一瞬睨んだ。が、その時突然ひらめいた。



「あ……もしかしたら」



 先代が死んだあの日、何があったのか。……これなら一応筋が通る。

 だが、まだ判断するには材料が足りない。



「ルシウスさん、他にも案内してもらいたい場所があるのですが」



 シエラは自信に満ち溢れた、令嬢探偵バージョンの笑みを浮かべていた。


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