元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
露骨に話がそらされた感じもするが、「暗号」の言葉にきらりとシエラの目が光った。
暗号は唯一、静奈だったときから得意としていた分野だ。何しろ黒瀬にスパルタで叩き込まれたのだから。
「この紙を見てください。先日、見知らぬ男に渡されたのです。男は『探偵に会ったら解読してもらうように』と言っていました」
「な、なんですかその人……怪しい……」
「俺も意味がわからなかったのですが、こうして本当に探偵と会うことができたので、その謎も解けるのかと」
怪しい。怪しすぎるが……好奇心がものすごく刺激されてしまう。
シエラは暗号の書かれた紙を受け取り、じっと観察する。
紙には、ペンで殴り書きされたような数字が並んでいるだけだった。
『1 46 10・ 3 26 20 9 16 38 3 16・ 24 5 34 19・ 20 3 12 13・ 21 8 46 17 6 25 29 36 19・ 31 18』