元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
「えっと……」
もっと詳しく話を聞きたい。そう思うのに、ルシウスの表情が読めず、何となく言葉に詰まってしまう。
それでも意を決して口を開きかけた時、どんどんと勢いよく戸を叩かれた。
「ルシウスさーん? いるー? 何かこの書類計算合わないから確認して欲しいってさ」
レオンの声だ。
ルシウスが扉を開けると、目が合った。レオンは「わー!」と甘えた声をあげてシエラの元へ駆け寄る。
「シエラお姉さんまた来てるー! ルシウスさんと仲良くなったから最近よく来るんでしょ?僕もシエラお姉さんとお話ししたいのにルシウスさんが全然会わせてくれないんだ」
「あらそうなの? というかレオンくん、本当に普通に働いてるのね。子どもなのにすごいわね……」
「えへへ。あ、そういえば僕、お姉さんに言われてから一回も盗みしてないんだよ!偉い?」
「良かった。ちゃんと約束守ってるのね」
シエラが微笑むと、レオンもにこりと笑ってシエラに抱き着く。
可愛い。小さな弟がいたらこんな感じなのだろうか。