元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。



 そうほのぼのとしていると、ルシウスがつかつかとシエラたちの方に歩み寄って来る。そして、レオンの腕を強くつかみ、シエラから引きはがした。



「いだだだだ、ルシウスさん、痛い!」

「ちょっと、黒……ルシウスさん⁉」



 半泣きになっている幼い子に何てことを。思わず声を上げると、ルシウスはシエラに目を向け、ため息をつきながら言った。



「……うちの従業員が貴族令嬢に無礼な行為をしているのを見逃すわけにはいきませんから」

「そんな大袈裟な……子どものすることなんだし」

「確かにレオンはどう見ても十歳に満たない子どもですが、実年齢は十五歳ですよ」

「え、じゅうご⁉ てことは私と二つしか変わらないの⁉」



 衝撃の事実である。

 驚いてレオンの顔を見ると、涙は既に引っ込んでいた。ウソ泣きだったらしい。その上、「なーんだ、もうばらしちゃうんだ」などと言って舌を出している。



< 94 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop