元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
「あはは……もう何も信じられない」
「ごめんねシエラお姉さん。お姉さんが僕のこと小さい子どもだって勘違いしてるのは知ってたんだけど、何となく言い出せなくて」
うるうるした瞳で見つめられた。そんな目をされると怒る気も起きないではないか。
「……良いのよ。私が勝手に勘違いしてたんだし。むしろこれまであんまりにも子ども扱いしすぎていたかもしれないわね。ごめんなさい」
「ううん!じゃあシエラお姉さん、これからも今までみたいに仲良くしてくれる?」
「もちろんよ」
シエラの答えに、レオンは「やったー」と満面の笑みになり、またしてもシエラに抱きつこうとする。そしてまたルシウスに阻止される。
ルシウスは、片手でレオンの腕を拘束したまま彼の持ってきた書類を手に取った。
「ふむ、デマール領のレース製品関係ですか。……なるほど。前回値上げを要求されたんですよねぇ。あまりに無謀な値上げ率だったので断ったのですが、しつこかったので折れて少しだけ高く買い取ることにしたんです。ここを書き換えると合うようになるかと」