元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
元使用人。何でも一年ほど前、財政の悪化を理由に五人の使用人を突然解雇したらしい。
そんなことをされては家族が路頭に迷うと泣きついてきた者もあったが、容赦なく切り捨てたそうだ。
「マルガリータは彼らへの当たりもきつく、ずいぶんと恨みを買っていました。やめさせる使用人を選んだのもあいつだ。だが、実際に解雇を言い渡したのは私なのだから、私も十分に恨みを買っているはずです……」
その後の彼らの生活は知らないということだが、解雇されたことが原因で生活が困窮したということなら、確かに強い怨みを買ってはいるだろう。
他の心当たりは特になさそうだったので、とりあえずその線から探ることにした。
デマール男爵は辞めさせた使用人の行方は把握していなかったが、今も屋敷に残る使用人たちは、彼らの現在を詳しく知っていた。
「五人のうち四人は、実家へ戻ったり引っ越したりしていて、もうこの辺りに住んでいません」