お前に愛を捧げる〜精神科ドクターの情愛
「どんな事聞かれたの?」

「都築総合病院は継いでくれるのかとか、玲子を愛しているのかとか」

「なんて答えたの?」

「もちろん愛していますって、それから病院のことはお望みとあらばって答えた」

「そうなんだ」

「まずかったか?」

玲子はちょっと考えてから口を開いた。

「戸倉建設はどうするの?光は長男なんだよ、光のお父様は絶対に、光に継いで欲しいに決まってる」

「慶がいるから大丈夫だよ」

「慶くん?光の弟さんだよね」

僕は頷いた。

戸倉慶、僕の弟だ、親父は小さい時から慶を可愛がっていた。

慶が産まれてまもなく母親は亡くなった。

親父は慶が可哀想だと再婚をした。

しかし、慶は新しい母親には懐かなかった。

慶が五歳の時、既に反抗期だったのか、迷子になって皆んなに心配をかけたことがあった。

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