お前に愛を捧げる〜精神科ドクターの情愛
僕が医者になりたいと親父に申し出た時も、親父は文句一つ言わず「奨学金で大学に行くんだぞ、やるからには絶対に医者になるんだ」そう言われた事を思い出した。

その時から、自分の会社は慶に継がせる気持ちだったんだろう。

「慶くんに聞かなくて大丈夫?好きなこと、やりたいことあるかもしれないわよ」

「そうだな、ちゃんとお前が継ぐんだって念を押しておくか」

「もう、光ったら、それじゃ可哀想よ」

「玲子は優しいんだな、僕達の幸せのために慶には犠牲になってもらおう」

「また、そんな言い方して、頭下げるんでしょ」

僕は玲子に見透かされたと照れ笑いをした。

確かに慶に改めて聞いた事はなかった。

慶がやりたい事はなんだろう。

五歳の時の初恋の相手、葉村美鈴との結婚だったとは、この時は予想もつかなかった。

僕は次の日、慶に会いに行った。

「慶、頼みがある」

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