お前に愛を捧げる〜精神科ドクターの情愛
「兄貴、なんだよ、改まって、気持ち悪いな」

「戸倉建設をお前が継いでくれ、頼む」

「なんだよ、今更、兄貴が医者になりたいって、大学医学部に奨学金を借りて行った時からわかってた事だよ」

「そうなんだが、具体的になりそう、いや絶対にそうなるようにするから、頼んだぞ」

僕は慶に頭を下げた。

玲子の旦那は以前から玲子に惹かれていた。

もちろん都築総合病院の次期医院長の立場も狙っていたが、玲子を自分のものにするのが狙いだった。

異常なくらいの独占欲が強く、玲子が契約上の妻だけでは我慢出来なかった。

特に僕の存在を調べて、嫉妬の炎を燃やしていた。

「玲子は誰にも渡さない、他の男に抱かれる事など許さない」

だから、離婚は難しい問題だった。

玲子はずっと僕のマンションで暮らしてくれていた。

僕はその頃、医学部を卒業して、大学病院で勤務していた。

玲子の精神状態も気になっていた。
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