お前に愛を捧げる〜精神科ドクターの情愛
「私も一緒に行く、一人はいや」

玲子は僕の胸に顔を埋めて、首を横に振った。
「いや、一人はいやよ」

「わかった、わかった、それなら一緒に行こう」

僕は玲子の外泊許可を申請して、車でマンションへ向かった。

玲子は神経が過敏になっており、住み慣れたはずのマンションの部屋に入るのも躊躇した。

「どうしたんだ、玲子、ここは僕と玲子が住んでいたマンションだよ」

「光と一緒に住んでいたマンション?」

「そうだよ、一緒に入ろう」

僕は玲子と手を繋いで一緒に部屋に入った。

今の玲子は僕を頼り切ってくれている。

その行動、一つ一つが可愛くて仕方がない。

これから先、大変な事はたくさんあるだろう。

しかし、二人で生きていければ僕は幸せだった。

着替えを用意して準備をしていた。

リビングにいた玲子が僕の名前を呼んだ。

「光、光」

「どうした、玲子、僕はちゃんとここにいるよ」

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