あやかし戦記　妖艶な夜に悪夢を
「無事につけたみたいでよかった」

ウィリアムがホッと胸を撫で下ろし、チェルシーが「お疲れ様」と駆け寄る。

周りを見渡せば、見覚えのない森の中だった。森の中で魔法使いたちが集まり、一夜だけのお祭りが開催されている。そして、その中に人が捕らえられているのだ。

「そういえば、協力してくれる魔法使いが他にもいると聞いていたんだが……」

ツヤがそう言いながら辺りを見渡す。サバトの会場は広いため、レジーナの店を探すためにウィリアムが協力者を他にも用意したと話していた。しかし、協力者らしき魔法使いたちはどこにも見当たらない。

「サバトの会場の中にいるんじゃないですか？」

アレンが訊ねると、「それはないよ」とウィリアムは首を横に振る。サバトの広い会場内で待ち合わせなど不可能だ。普通は入り口前で落ち合うのが普通らしい。

「もしかして、まだ来ていないのでは……」

イヅナがそう言うと、ウィリアムは何かを思いついたようだ。ニヤリと笑い、杖を何もない場所に向ける。
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