あやかし戦記 妖艶な夜に悪夢を

ウィリアムが何もない場所に向かって魔法を放っていくと、「ちょちょちょ！やめろって！」と誰もいないはずなのに声だけが聞こえてくる。

「えっ！？」

「どういうことですか！？」

イヅナとアレンが驚くと、誰もいない場所から黄色のネクタイを結んだローブを着た男性と、深緑の警察官の制服を着た女性が姿を見せる。驚きで固まるイヅナたちには目もくれず、男性と女性はウィリアムに抗議する。

「せっかく透明マントを羽織って驚かしてやろうと思ったのに、いきなり魔法を放つなんて何考えてんだよ！俺は味方だぞ！」

「……私の立場をわかって魔法を放ったのか？逮捕されたいのか？」

「時間が限られてるのにふざけようとするからだよ」

ウィリアムが呆れたようにため息をついた後、「あの二人が協力してくれる魔法使いと魔女だよ」とイヅナたちに紹介してくれた。

男性の名前はピーター・マクゴナガル。普段は薬剤師として働いており、魔法のかかった便利な道具をいくつも開発している。先ほどの透明マントも彼の手作りだ。