あやかし戦記 妖艶な夜に悪夢を

まずい、そう思った瞬間にアレンにかけられた魔法が解けていく。あっという間に人間の姿に戻ってしまい、アレンの顔は青ざめていった。

「どうしよう……。こんな姿で大通りに行くわけにはいかないし……」

姿を見られないよう裏路地の奥へと進んでいく。そして自身の式神である犬を召喚し、助けを求めようとした時だった。

「あれ〜？こんなところに人間がいるぞ？」

「肉付きがいいから食用にもできるし、顔がいいから奴隷としても売れそうだな」

視線を感じてアレンが振り返れば、下卑た笑みを浮かべながら二人の魔法使いが近付いてくる。アレンは斧を取り出し、「近付くようなら斬る！！」と二人を睨みながら言った。

「ヒャヒャヒャ、そんなもんで俺らに勝てると思ってんのか？」

「面白いこと言うなぁ、お前」

魔法使い二人が一気に距離を詰めてきたため、アレンは斧を振り回し、近づけないようにする。しかし、相手は魔法という特殊な力を持ち、自分は人間だ。