あやかし戦記 妖艶な夜に悪夢を

「地下？」

サバトの会場を歩いていた時、地下に繋がるような場所はどこにもなかったはずだ。魔力を感じ取れるルーシーやウィリアムだって何の反応も示していなかった。

「俺たちはこれから、ボスであるレジーナとかいう魔女と親しい魔法使いたちに売られるんだ。レジーナがその連中たちに地下に入れる魔法をかけた招待状を渡したらしい。その招待状がなきゃ、この地下には入らないよ」

男性の一人が教えてくれて、アレンは納得する。だが、ここから逃げ出すことができなければ意味がない。

「クソッ！こういう時、斧があれば……」

斧ならば、鎖も鍵も壊せただろう。しかし今、手元には斧やこの鍵を壊せそうなものさえない。そうしているうちに、少し遠いところから拍手と軽やかな音楽が鳴り始めた。

「ああ、始まった……！」

「売られる、売られる、売られるんだ！」

みんなの顔と声が絶望で染まる。そこへアレンを連れ去った魔法使い二人が現れ、アレンの近くにあった檻を運んでいく。檻の中にいる男性は「嫌だ！」と泣き叫ぶも、魔法使いはニタニタ笑ったままだ。