あやかし戦記 妖艶な夜に悪夢を
「お前ら、大人しくしてろよ。いいご主人様を見つけてやるからな」

下品な笑い声と共に、男性の泣き叫ぶ声が遠くなっていく。檻が運ばれてしばらくすると、遠くから歓声が上がり、「二十!」「うちは三十出す!」と声が響いている。

「ッ!」

売られてしまえば、魔法使いの奴隷にされるか、それとも喰われるかのどちらかだ。どちらの道を転がされても地獄しかない。アレンの目に涙が浮かぶ。

一億で男性が落札されると、また二人組の魔法使いが檻を運ぶためにやってくる。その足はアレンの檻の前で止まった。

「よお、坊っちゃん。お前の番だぜ」

「いい人に買ってもらえるといいな」

ニタニタと笑う魔法使いに苛立ち、「うるさい!お前らなんか……お前らなんか……」とアレンは怒鳴る。しかし、魔法使いは表情を変えることなく檻を運んでいく。

薄暗い道を抜けると一気に明るくなり、アレンの目が眩んだ。目が慣れてくると、自分がステージにいて、観客席に多くの魔法使いや魔女たちが座っていることがわかった。
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