あやかし戦記 妖艶な夜に悪夢を
座っている魔法使いたちは、全員意地の悪そうな顔ばかり揃っている。類は友を呼ぶとはこういうことなのか、とアレンは納得をした。そんな現実逃避をしている間にも、ステージの上で人身売買は進んでいく。

「この少年を買いたい方はいらっしゃいますか?百万からのスタートです!」

「三百万!」

「四百万!」

「五百万!」

「六百万!」

こんな魔法使いたちが大勢いる前では、式神を召喚して助けを求めるということはできない。アレンの目から光が消えていった。



レジーナに喰われそうになっているイヅナは、ナイフをレジーナが振りかぶった瞬間に目を閉じ、やって来る痛みに体を震わせていた。しかし、キンッと何かがぶつかる音が響く。手のひらほどの大きなの針がナイフを弾き飛ばしたのだ。

「な、何だ!?」

レジーナ、そして手下が辺りを警戒する中、ゆっくりとドアが開く。

「……あたしの部下に何をしようとした?言え。まあ、どんな内容であれお前たちには地獄を見せつけてやるがな」
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