あやかし戦記 妖艶な夜に悪夢を
チェルシーの家は、ギルベルトの家から一時間ほど離れた丘の上にあった。丘の上にはマンションがいくつか建てられており、チェルシーもマンションに住んでいる。
「ここがチェルシーさんの住んでいるマンションだよ」
アレンに案内されたのは、二十階以上階がある高そうなマンションで、チェルシーの部屋は最上階にあった。
「すっげえ!めちゃくちゃいい眺めだぜ」
「レオナード、はしゃぐな。恥ずかしいだろ」
瞳を輝かせながらガラス張りのエレベーターの外を見つめるレオナードに対し、ヴィンセントが呆れたように言う。しかし、ヴィンセントの目も窓の外にあるため、イヅナはクスリと笑ってしまう。
「チェルシーさ〜ん、アレンです。イヅナさんたちを連れて来ました!」
ベルを鳴らしてアレンがそう言うと、「は〜い」と言いながらチェルシーがすぐに出てきた。今日のチェルシーはオフの日のため、薄いピンクのニットワンピースを着ていた。
「遠いのに来てくれてありがとう!さあ、中に入って」