・LOVER—いつもあなたの腕の中—

「西田リュウ」を見る度にその魅力に惹かれドキドキして魅了されたら、離れられなくなってしまう。リュウを支持しているファンもきっと私と同じ気持ちでリュウを見ているはずなのだ。
　カメラ前で憂いのある表情を浮かべるリュウに、何故か泣きたくなるほど胸が締め付けられる。万年筆を手にし口元で頬杖をつけば、今にも何かを語りだしそうな唇に目が離せなくて。

　違う表情を要求され手帳で顔半分を隠し静かに流し目でカメラを見つめたリュウから、モニター越しに見つめられてしまったら。なんとも言えない愛しさから自然と笑みがこぼれてしまう。

　どれだけこの仕事が好きなのか、真剣に取り組んでいるのか、痛いくらいに感じて。絶対にリュウの仕事の邪魔をしてはいけないのだと思わずにはいられなくなる。


「カット！　お疲れ様」

「お疲れ様です、ありがとうございました」


　撮影を終えたリュウはスタッフ一人ひとりに声をかけて回り。最後に私の前へ真っすぐに歩いて来た。


「優羽」

「お疲れ様でした」


　当たり障りの無い言葉が不満だったのか、リュウは顔を覗き込みながら「それだけ？」と口にした。