・LOVER—いつもあなたの腕の中—
「いえ。私は後からタクシーで追いかけるので」
遠慮したことが気に障ったのか、リュウは「すみません、これから着替えるので撮影は一旦止めて下さい」と真顔で告げカメラを追い払った。
突然二人きりにされてしまい、どうしていいか分からない。リュウのまっすぐな視線が痛いし、周りの目が気になって見つめ返すことも出来ないし。
「優羽、なんか今日変だよ?」
「そんなことないですよ」
答えながらもリュウの目が見れない。それどころか今の私はこの場から離れたくてしょうがないのだ。これ以上一緒に居たら「今は仕事中だ」ということを忘れてしまいそうだから。
「そろそろ正面玄関に車が到着しているかもしれないですね。見てきます」
「待ってよ」
クルッと背を向け逃げ出そうとした私の右手首は、すかさずリュウに掴まれてしまった。振り返ることが出来ない私は、前を向いたまま「放してください」と小さく呟く。
「俺、なんかした?」
「なに……も」
仕事をしているリュウの姿を見て自分も仕事中だということも忘れそうになるくらい、勝手にドキドキして魅せられて。惹き込まれ、見とれてしまっていたのは私。
遠慮したことが気に障ったのか、リュウは「すみません、これから着替えるので撮影は一旦止めて下さい」と真顔で告げカメラを追い払った。
突然二人きりにされてしまい、どうしていいか分からない。リュウのまっすぐな視線が痛いし、周りの目が気になって見つめ返すことも出来ないし。
「優羽、なんか今日変だよ?」
「そんなことないですよ」
答えながらもリュウの目が見れない。それどころか今の私はこの場から離れたくてしょうがないのだ。これ以上一緒に居たら「今は仕事中だ」ということを忘れてしまいそうだから。
「そろそろ正面玄関に車が到着しているかもしれないですね。見てきます」
「待ってよ」
クルッと背を向け逃げ出そうとした私の右手首は、すかさずリュウに掴まれてしまった。振り返ることが出来ない私は、前を向いたまま「放してください」と小さく呟く。
「俺、なんかした?」
「なに……も」
仕事をしているリュウの姿を見て自分も仕事中だということも忘れそうになるくらい、勝手にドキドキして魅せられて。惹き込まれ、見とれてしまっていたのは私。