・LOVER—いつもあなたの腕の中—
　リュウは何も悪いことなどしていない。悪いのは、仕事と私事の区別が出来なくなってしまう私の方。


「気に障ることしたなら謝るし、直すから言って」

「皆さん見てますから。……なんで優しくするの……」


　悪いのは私なのに。


「優しくなんかないよ。俺には、優羽以外どうだっていい」


　そう言ってくれることは、とても嬉しいことだけど。今のリュウにそこまで言わせてしまう私は、リュウの傍に居ない方がいいのかもしれない。ポンコツで切り替えが上手く出来ない私は、この先きっとリュウの負担になってしまうだろう。


「真島さーん、少しいいですか？」


　映像確認していたスタッフの一人が私を呼んだため「あーもう、空気読めよな」と文句を呟き、リュウは私から手を離し髪を掻いた。


「はい、今行きます。ごめんなさい、インタビュー現場には後から向かいますから」

「優羽」


　逃げるようにリュウから離れスタッフさんの元へ駆け寄ると、今撮ったばかりの写真と、映像を見せてもらえた。


「見て。このリュウ、いい顔してるよね。こっちとか、カメラマンの俺的には一押しなんだけど」

「あ、凄くいい表情ですね。素敵です」

< 124 / 253 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop