・LOVER—いつもあなたの腕の中—
 独特な雰囲気の映像と何千枚も撮影した写真の中からスタッフ一押しの一枚を見せてもらった私は、思わず「この写真、転送してもらっても構いませんか?」と頼んでしまっていた。
 こんなに素敵な表情の写真なら、絶対にリュウも気に入るはず。だから「一番に見せたい!」と思ったのだ。
 それに、あまりいい雰囲気とも言えないくらいぎこちなく別れてしまったから。気分が上がるような会話のきっかけが欲しかった。

 タクシーを捕まえインタビュー現場に指定されていたカフェへ急ぐ。途中、転送してもらったリュウの写真を眺めているだけで顔がニヤケてしまい。アホ面をタクシー運転手にルームミラー越しに見られ怪しまれてしまった。

 撮影現場のスタジオから十五分ほど車を走らせ見えて来たカフェは、大通りに面したブルックリン風の店構えをしたオシャレなカフェだった。
 タクシーを降り店の外から店内を覗き込むと、既に取材が進められているのだろう。リュウと雑誌編集者がテーブルを挟み、向かい合い楽しそうに談笑している姿が見える。
 身なりを整え入店すると、私に気付いたマネージャーさんに手招きされた。
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