・LOVER—いつもあなたの腕の中—
「お待たせ、見送りは済んだから。リュウは先に車に戻っていて」


 話が弾んでいた私達の仲を割って入ってきたのは、編集者さんを見送り清算を済ませ戻って来たマネージャーさんだ。


「俺だけ? なんでだよ」


 テーブル脇に立っているマネージャーさんを見上げたリュウは不思議そうに答えていたけれど、私はマネージャーさんの血相が変わっている事に気付いてしまい。
「次回の打ち合わせの件ですよね。確認しておきましょう」と話を合わせるように、リュウが先に席を立ちやすく促す。
 首を傾げながら席を立ち「じゃあ、先に車に帰ってる。優羽、後で連絡する」と言葉を残したリュウが、店から出て行く姿を確認したマネージャーさんから厳しい視線を向けられたのだ。


「私の言いたいこと、お分かりですよね?」


 キリッとしている見た目と本当に仕事が出来るマネージャーさんに睨まれてしまったら。ヘラヘラしてとぼけること等できそうにない。


「リュウと私の仲を、全て気づいているうえで言っているのだろう」と直感してしまった私には、テーブルを挟み向かい合っている分逃げ場がなくなっている状態。
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