・LOVER—いつもあなたの腕の中—

「遅かれ早かれ二人の仲が表沙汰になってしまえば、嫌でも別れなければならなくなる」とまで言われてしまえば、正論過ぎて返す言葉が見つからなくて更に黙り込むしかない。


「分かっていただけましたか？」

「なるほどね、そういうことか」


　私へ向けられた確認事項に対し言葉を返したのは。先に店を出たはずのリュウだった。
背後からリュウの声が聞こえ振り返りながら見上げると。私とマネージャーを見下ろしながら、冷めた表情で立っているリュウの姿が目に入る。


「リュ……」

「気になったから戻ってみれば。優羽の方から身を引かせるために裏工作しようと、俺を先に帰したってわけか。やることが汚いな」


　言いかけた私の声を遮るようにリュウから手首を掴まれ強引に立ち上がるよう手を引かれた。その力の強さに導かれガタッと椅子を鳴らし立ち上がると。私のバッグなどを手に取ったリュウは、マネージャーさんに宣言したのだ。


「俺が誰と恋愛しようと自由だろ。恋愛を禁止されている覚えはないよ、そんな契約も事務所とは交わしてない」

「リュウ、自分の立場が分かっているの？　今、発覚するわけにはいかないこと位理解できないの？　こんなことで、今までの努力を無駄にする気？」