・LOVER—いつもあなたの腕の中—

　本来ならば私がこの部屋にお世話になった方がリュウにとって、一番過ごしやすい環境なんだろうな。台本を覚えることも好きな映画を観ることも、きっとこの部屋の方が充実しているはずだし。
　今になり再度確認したくなった私は「本当に私の家でいいの？　過ごしにくいかもよ？」と、準備を進めているリュウに声をかけてみる。
　すると、右往左往していたリュウの足がピタリと止まり「なんで？」と不思議そうに尋ねられ。台本を覚えたりする際に私の家では不自由なのではないかと尋ねてみた。


「優羽が心配することないよ、大丈夫」

「そう？　でも環境が変わるし部屋には私が居たりするし……仕事の邪魔じゃないかな」

「心配性だなぁ、大丈夫って言ってるんだから大丈夫なの！」


　ソファに座っていた私の背後に回り込んだリュウから、勢いよく背中からギュッと抱きしめられ。首筋に顔を埋めたリュウの息遣いを感じると、スイッチが入った様にドキドキしてしまう。


「優羽の頭の中、俺のことでいっぱいなんだね」

「そんなこと……ないもん」


　どうしてリュウには考えていることが分かっちゃうんだろう。これじゃあ、なにかリュウに秘密を持とうとしても無駄だなぁ。