・LOVER—いつもあなたの腕の中—
 こうもサラリと言い当てられてしまうと、なんだか素直に頷けない。恥ずかしい気持ちを悟られたくなくて本音とは逆の返事をしてしまったのに。そんな私の台詞さえ、すぐに嘘だと気づいてくれるリュウが「ふふっ」と笑うから。首筋にリュウの息がかかって、くすぐったい。


「ありがと、心配してくれて。俺は優羽が傍に居てくれれば、何があっても前に進める力が湧いてくるから大丈夫」

「なにそれ。私のこと強壮剤的な感じに思ってる?」


「そうそう」と笑いながらも。そんなに気になるのなら適当に自分の部屋にも帰るよ、とリュウは言った。連日部屋に帰らないというのも怪しまれるかもしれないし、私も残業などで遅く帰った時に物音を立て眠っているリュウを起こしてしまうドジをやらかすかもしれない。
 出来る限り一緒に居られるときは同じ時間を過ごそうね、と約束を交わし。どちらの部屋で過ごすかはその都度状況に合わせ臨機応変に決めよう、とルールを作った。


「優羽と俺が始める秘密の生活かぁ、ワクワクするね」


 この幸せな時間が明日も明後日も続いてほしい、と願いながら。抱きしめてくれているリュウの腕の中で瞼を閉じる。


 ___永遠に続きますように。
< 148 / 253 >

この作品をシェア

pagetop