・LOVER—いつもあなたの腕の中—
定時で仕事を切り上げ、秘書の高田さんと一緒に副社長の車で待機していると。相変わらず不愛想な顔つきで車の後部座席に乗り込んで来た副社長に対し、勝手にビビってしまう。
「お、お疲れ様です。今夜は宜しくお願いします」
「……あぁ」
車内では無言のまま窮屈な時間だけが過ぎていく。こんなにも早く目的地に着いてほしいと願ったことは無い位に、ハンドルを握っている高田さんの腕付近を意味もなく見つめながら「早く着け!」と願う。
途中、副社長はスーツの胸ポケットから手帳を取り出し予定を確認していた。その姿を視界の隅で捉えていた私は副社長が手にしている手帳が社員達に配られている自社手帳と同じ物だと気づく。
革のシステム手帳あたりを使っているものだと、勝手に思っていたけど。副社長って結構庶民的なんだなぁ。
もっと高級感のある高そうな文具を愛用しているのだろう、という予想に反し。自分と同じものを愛用している副社長の姿に、なんだか親近感を覚えてしまう。
高田さんの運転で格式高そうな料亭入り口に車を横付けされ。助手席のドアを開け降り立った私は、料亭の敷地の広さに驚いてしまい無意識に口をあんぐり開けてしまった。
「お、お疲れ様です。今夜は宜しくお願いします」
「……あぁ」
車内では無言のまま窮屈な時間だけが過ぎていく。こんなにも早く目的地に着いてほしいと願ったことは無い位に、ハンドルを握っている高田さんの腕付近を意味もなく見つめながら「早く着け!」と願う。
途中、副社長はスーツの胸ポケットから手帳を取り出し予定を確認していた。その姿を視界の隅で捉えていた私は副社長が手にしている手帳が社員達に配られている自社手帳と同じ物だと気づく。
革のシステム手帳あたりを使っているものだと、勝手に思っていたけど。副社長って結構庶民的なんだなぁ。
もっと高級感のある高そうな文具を愛用しているのだろう、という予想に反し。自分と同じものを愛用している副社長の姿に、なんだか親近感を覚えてしまう。
高田さんの運転で格式高そうな料亭入り口に車を横付けされ。助手席のドアを開け降り立った私は、料亭の敷地の広さに驚いてしまい無意識に口をあんぐり開けてしまった。