・LOVER—いつもあなたの腕の中—
 親睦という名の酒席。どう考えても、仕事絡みの話をしそうにないほど目の前で繰り広げられているのは、オジサマ達がヘベレケ状態になっただらしない姿。
 そんな中でもうちの副社長は深酒している様子もなく、落ち着いた雰囲気でお酒を交わしていた為何故か安心した。

 私同様オジサマ社長達に同行して来ていた美人秘書さん達は、呆れながらも作り笑いで酔っ払い相手にその場を上手く立ち回っている。
 体の良いコンパニオンのように見えてしまうのは私の色眼鏡だろうか。

 副社長は私に秘書さん達の仕事ぶりを直に見せ、何か勉強させようとしているのかな。などと都合よく考えようと思っても無理だ。

 隣りに座っているどこぞの文具会社の社長さんの私を見る目がいやらしく感じてしまっているから。
 こんな席に同行させた副社長のことを恨みたい気持ちと、隙があれば今すぐにでもこの場から逃げ出したくて仕方が無い。


「君は全然飲んでないじゃないかぁ」と絡まれ始めてしまい。助けを求め向かい側に座っていた副社長に目を向けたけれど、唯一の頼りである副社長は。
 他会社の美人秘書さん達から両隣をガッチリ堅められ身動きできない状態だった。
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