・LOVER—いつもあなたの腕の中—
「撮影でニューヨークに行くけど、お土産なにがいい?」

「いつから? どれくらい? 帰って来るのはいつ? 長いの? その間、連絡とかしてもいいの? あ、仕事だからダメか。 緊急とかの場合は、やっぱり事務所を通すべき?」


 質問されたことに対し答えるどころか質問で返した私は、リュウを質問攻めにしてしまい。そんな私を眺めているリュウは、どんどん表情が緩み始め。これ以上無理というくらい口角は上がり、目尻も下がったリュウに笑顔を向けられた。


「急に映画の仕事ねじ込まれてさ。二週間くらいで帰って来るよ」

「そう……なんだ」


 黙り込む私の額を人差し指でチョンと突いたリュウから「なに? 寂しいって? 俺もー」と、からかわれた。
 明らかに私が寂しがっていることを分かっているくせに。わざわざ確認しなくてもいいのに、と思いながらも素直に言えないのは。
 指摘されたことで余計に寂しくなってしまったからだ。


「好きな時に連絡してきていいよ。さすがにニューヨークから駆けつけることは無理だけど、優羽が電話してくれた時は絶対に出るから」


 私を元気づけ安心させるために言ってくれているのだと分かっているのに。リュウに対し「もし撮影中だったら?」なんて、意地悪な質問を返してしまう。
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