・LOVER—いつもあなたの腕の中—
　おかげで私は何も知らずに「副社長のことをもっと知りたい」とか、お気楽なことを考えていたりリュウと楽しくすごしていたのだから。


「改めて。これからも俺の傍に居てくれる？」

「……はい」


　答えを聞いたかも分からない速さで抱き寄せられた私はガクンと肘から力が抜け体勢を崩し。隆好の身体の上に全身を乗せてしまっていた。


「ちょっ、重いでしょ。降りるから離して」

「やーだ」


　嬉しそうに私の首筋に顔を埋めている隆好は、自然な笑みで答えると。私はギューッと抱きしめられ、着ていた洋服を一枚ずつ脱がされていった。
　副社長の吉野隆好本人が俳優の西田リュウだという真実は、リュウのマネージャーさんも知らない秘密だと教えられ。

　私が拒んでしまった裕隆さんの動向が気になる。代役を務めることを降りると言っていたのだから、今までのような期待は出来ない。
　もし、仮に今まで通り代役を務めてくれたとしても。副社長としての隆好の評判を下げるような行動をしないか不安だ。


「そういうことは、俺が考えるべきことだから」

「でも」

「優羽は、俺だけ見ていて」


　優しく囁く隆好を見つめれば、瞳の中に居る幸せそうな表情の私と目が合った。
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