・LOVER—いつもあなたの腕の中—
「なら仕返しに俺はライバル会社に入社するか、とも思ったけど。丁度隆好の仕事が忙しくなった時期と重なって。代役を引き受けたことをきっかけに、フリーターしか出来ない身になったんだ」
腕を組み壁に寄りかかった裕隆さんは、フーッとため息をつき「分かった?」と私を見つめて呟いた。
裕隆さんが好んでフリーターをしていたのだと思っていたのは、隆好の思い込みだったのか。
元々、全ては隆好のために。裕隆さんは正社員の道を断ったということになるわけか。
それって。隆好のせいで裕隆さんは自分の人生を棒に振ってしまったことと同じ……なんだよね?
「その事実、隆好は知って……」
「……るわけないだろ。だからアンタとのことを知っても、今でも変わらず平然と俺に身代わりを依頼してくる。あ、わざわざ隆好に言うなよ」
口止めするように、裕隆さんは私の唇に人差し指を押し当てた。
その仕草に驚き。一瞬、顔を後ろに引いてしまった私は離れた人差し指との隙間から訊ねた。
「……それでいいの?」
このまま、ずっと隆好の代わりを務めていたら。裕隆さんの人格は否定されたままってことになるんだよね?
入れ替わり、隆好の代役として副社長の仕事を行っているのに、実際には誰にも分かってもらえてなくて。父親である社長にも認められずに。
腕を組み壁に寄りかかった裕隆さんは、フーッとため息をつき「分かった?」と私を見つめて呟いた。
裕隆さんが好んでフリーターをしていたのだと思っていたのは、隆好の思い込みだったのか。
元々、全ては隆好のために。裕隆さんは正社員の道を断ったということになるわけか。
それって。隆好のせいで裕隆さんは自分の人生を棒に振ってしまったことと同じ……なんだよね?
「その事実、隆好は知って……」
「……るわけないだろ。だからアンタとのことを知っても、今でも変わらず平然と俺に身代わりを依頼してくる。あ、わざわざ隆好に言うなよ」
口止めするように、裕隆さんは私の唇に人差し指を押し当てた。
その仕草に驚き。一瞬、顔を後ろに引いてしまった私は離れた人差し指との隙間から訊ねた。
「……それでいいの?」
このまま、ずっと隆好の代わりを務めていたら。裕隆さんの人格は否定されたままってことになるんだよね?
入れ替わり、隆好の代役として副社長の仕事を行っているのに、実際には誰にも分かってもらえてなくて。父親である社長にも認められずに。