・LOVER—いつもあなたの腕の中—
「真島、今騒がれている噂って本当なのか?」
ラウンジに着くなり振り返った深山さんから、単刀直入に訊ねられてしまった。確認された際、すぐに「違います」と否定すればよかったのだろう。
けれど「あの噂」とは「副社長の隆好と付き合っているのか」ということであり。確かに私は「付き合っています」と、答えるべきだったのかもしれない。
しかし現時点で「隆好=リュウ」だと公にしていない限り、認めるわけにはいかないのだろうと判断した。
「副社長とお付き合いなどしていませんよ。それに私、社外に恋人がいますから」
口から出た嘘は、隆好がリュウと同一人物ではないと裏付けること。恋人がいるのは本当だし、私は「西田リュウ」と付き合っているのだから。嘘だけど全部嘘じゃないし。
「あ、そうなんだ? じゃあ今の仕事が終わったら通常業務に戻るんだよな?」
もしかして、副社長の贔屓で私が今回の仕事に抜擢されたと思ってるの? リュウとの仕事を理由に、副社長である隆好から直々に深山さんの仕事の補佐を私にさせないようにと指示を出されたりしたから? 贔屓を疑われても仕方がないのかもしれないけれど、だとしたら少しでも訂正しておくべきだよね?
ラウンジに着くなり振り返った深山さんから、単刀直入に訊ねられてしまった。確認された際、すぐに「違います」と否定すればよかったのだろう。
けれど「あの噂」とは「副社長の隆好と付き合っているのか」ということであり。確かに私は「付き合っています」と、答えるべきだったのかもしれない。
しかし現時点で「隆好=リュウ」だと公にしていない限り、認めるわけにはいかないのだろうと判断した。
「副社長とお付き合いなどしていませんよ。それに私、社外に恋人がいますから」
口から出た嘘は、隆好がリュウと同一人物ではないと裏付けること。恋人がいるのは本当だし、私は「西田リュウ」と付き合っているのだから。嘘だけど全部嘘じゃないし。
「あ、そうなんだ? じゃあ今の仕事が終わったら通常業務に戻るんだよな?」
もしかして、副社長の贔屓で私が今回の仕事に抜擢されたと思ってるの? リュウとの仕事を理由に、副社長である隆好から直々に深山さんの仕事の補佐を私にさせないようにと指示を出されたりしたから? 贔屓を疑われても仕方がないのかもしれないけれど、だとしたら少しでも訂正しておくべきだよね?