・LOVER—いつもあなたの腕の中—
小首をかしげ、意味が分かっていない私は裕隆さんを見つめてしまう。そんな私の前に、人差し指を立てた裕隆さんの指先が迫ってきた。
このままデコピンでもされるのかと思っていると、裕隆さんの指先は私の鼻先でピタリと止まり。
「回れー、右!」
「は? はいっ」
裕隆さんにつられ何も考えず身体を反転させると。そんな私の背中は無防備になり、裕隆さんに思い切り押されたのだ。
「ブッ、イタッ」
低い鼻だって当たれば痛いのに! と裕隆さんに文句を言おうとした私の両腕がしっかりと掴まれている感触に気付き、顔を上げると。見上げた先には隆好の顔があった。
「いつ誰に見られるかも分からない廊下で何しているんだ。お前、今日は俺が出社することを分かっていただろ。どうして社内に居るんだよ」
誰かに見られでもしたら、もう誤魔化しようがないのに。と口にした隆好に裕隆さんが口を開いた。
「そのために。今日はその話をするために社長と話しに来たんだ」
「は? なに言ってんだよ、そんなことしたら今まで何のために……」
「何のために? 全部自分のためだろうが。何時だって隆好は自分のためにしか考えていないだろ。笑わせるな」
このままデコピンでもされるのかと思っていると、裕隆さんの指先は私の鼻先でピタリと止まり。
「回れー、右!」
「は? はいっ」
裕隆さんにつられ何も考えず身体を反転させると。そんな私の背中は無防備になり、裕隆さんに思い切り押されたのだ。
「ブッ、イタッ」
低い鼻だって当たれば痛いのに! と裕隆さんに文句を言おうとした私の両腕がしっかりと掴まれている感触に気付き、顔を上げると。見上げた先には隆好の顔があった。
「いつ誰に見られるかも分からない廊下で何しているんだ。お前、今日は俺が出社することを分かっていただろ。どうして社内に居るんだよ」
誰かに見られでもしたら、もう誤魔化しようがないのに。と口にした隆好に裕隆さんが口を開いた。
「そのために。今日はその話をするために社長と話しに来たんだ」
「は? なに言ってんだよ、そんなことしたら今まで何のために……」
「何のために? 全部自分のためだろうが。何時だって隆好は自分のためにしか考えていないだろ。笑わせるな」