・LOVER—いつもあなたの腕の中—
元々、隆好の身代わりを裕隆さんに頼んだ最初のきっかけだって。俳優としての仕事が起動に乗り始めて、楽しくなり。何時か辞めなければならないことだと、自分に言い聞かせていた気持ちさえ揺らぎ始め。
でも、社長から期待を受けている副社長としての仕事も、俳優業とは違った面白さを感じているからスッパリと捨てきれず。
「結局、何だかんだといい思いをして両方を手に入れてるじゃないか。ワガママのせいで、どれだけ俺が振り回されてたと思ってるんだ」
裕隆さんの心の叫びをこんな形で聞いてしまった隆好は。今、どんな気持ちなのだろう。
見上げると、隆好の視線は私ではなく裕隆さんへと向けられていたけれど。
その真っすぐな視線は真剣で。裕隆さんの発する言葉ひとつひとつを聞き漏らさず、反論もせずに全て受け止めているように見えた。
だから。そんな隆好の表情を見てしまった私には、なんとなく分かってしまった。
どんな気持ちで隆好の代役として副社長役を裕隆さんが務めていたのか。きっと、隆好は分かっていたのだ……と。
全て分かっていて気づいていて。
それでも敢えて裕隆さんに頼んでいたことなのだと。
でも、社長から期待を受けている副社長としての仕事も、俳優業とは違った面白さを感じているからスッパリと捨てきれず。
「結局、何だかんだといい思いをして両方を手に入れてるじゃないか。ワガママのせいで、どれだけ俺が振り回されてたと思ってるんだ」
裕隆さんの心の叫びをこんな形で聞いてしまった隆好は。今、どんな気持ちなのだろう。
見上げると、隆好の視線は私ではなく裕隆さんへと向けられていたけれど。
その真っすぐな視線は真剣で。裕隆さんの発する言葉ひとつひとつを聞き漏らさず、反論もせずに全て受け止めているように見えた。
だから。そんな隆好の表情を見てしまった私には、なんとなく分かってしまった。
どんな気持ちで隆好の代役として副社長役を裕隆さんが務めていたのか。きっと、隆好は分かっていたのだ……と。
全て分かっていて気づいていて。
それでも敢えて裕隆さんに頼んでいたことなのだと。