・LOVER—いつもあなたの腕の中—
この問題に関しては私が入ってはいけない領域で。絶対に触れてはいけない、大切なこと。
二人の関係もこれから先の未来も、左右してしまうのだろうから。
真剣な表情で視線を合わせている二人の視界から、そっと消えようと試みる。さっきから私は逃げてばかりだ。なんて心のどこかで思いながらも。足音を立てず二人の様子を窺いつつ、静かに後ずさりし始める。
しかし、そんな考えが甘かったのか。「よし、今だ!」と思った瞬間、私の右手は隆好に掴まれてしまい、逃げるに逃げられなくなってしまった。
逃げ出せずに、その場で足を止め。掴まれた右手は隆好の手に握りなおされ、しっかりと手を繋がれた私は思わず隆好の顔を見上げてしまった。
そんな隆好は大きく息を吐き出し。真っすぐな瞳を裕隆さんへ向け、静かに話し出した。
「この会社で仕事がしたいというなら働けばいい。副社長になりたいならなればいい。けど、優羽だけは譲るつもりはない」
裕隆さんに副社長の座を譲るとまで言い出した隆好が、私だけは渡さないと口にした時。ハッキリと強い意志であることが伝わってくるように、手をギュッと握られた。
二人の関係もこれから先の未来も、左右してしまうのだろうから。
真剣な表情で視線を合わせている二人の視界から、そっと消えようと試みる。さっきから私は逃げてばかりだ。なんて心のどこかで思いながらも。足音を立てず二人の様子を窺いつつ、静かに後ずさりし始める。
しかし、そんな考えが甘かったのか。「よし、今だ!」と思った瞬間、私の右手は隆好に掴まれてしまい、逃げるに逃げられなくなってしまった。
逃げ出せずに、その場で足を止め。掴まれた右手は隆好の手に握りなおされ、しっかりと手を繋がれた私は思わず隆好の顔を見上げてしまった。
そんな隆好は大きく息を吐き出し。真っすぐな瞳を裕隆さんへ向け、静かに話し出した。
「この会社で仕事がしたいというなら働けばいい。副社長になりたいならなればいい。けど、優羽だけは譲るつもりはない」
裕隆さんに副社長の座を譲るとまで言い出した隆好が、私だけは渡さないと口にした時。ハッキリと強い意志であることが伝わってくるように、手をギュッと握られた。