・LOVER—いつもあなたの腕の中—
「どうせなら大々的に振ってくれた方が、諦めもついたかも」とぼやいた私は芽衣からゲンコツをくらった。
「痛ったいなぁ」
両手で頭を押さえ芽衣を睨むと「追いかければいいでしょ」と、簡単に口にされた。
そんなこと出来るわけがない。私は裕隆さんのことを隆好から任されたのだから。
第一、平社員の私が長期間の有給休暇など許可されるはずもないのに。
「会社を辞めない限り、捨て身で追いかけるとか、無理だから」
さすがに社会人としての理性は残っている。全てを投げ出してまで隆好の元へ行こうなどという乙女な考えなどない。
会社まで辞めて身一つで隆好を追いかけたりしたら、それこそ隆好の重荷となってしまうじゃないか。
隆好の状況は今は全く分からない状態で。元気でいるのか新しい生活には慣れたのか、友人は出来たのか新しい恋人は……。
考えだせばきりがない位頭の中はすぐに隆好のことでいっぱいになってしまうのに。
どれひとつとして私には知る術が無い。
「真島、副社長が呼んでる」
「はい」
深山さんから声をかけられ芽衣の元から逃げるように席を離れ、副社長室を目指した。
「痛ったいなぁ」
両手で頭を押さえ芽衣を睨むと「追いかければいいでしょ」と、簡単に口にされた。
そんなこと出来るわけがない。私は裕隆さんのことを隆好から任されたのだから。
第一、平社員の私が長期間の有給休暇など許可されるはずもないのに。
「会社を辞めない限り、捨て身で追いかけるとか、無理だから」
さすがに社会人としての理性は残っている。全てを投げ出してまで隆好の元へ行こうなどという乙女な考えなどない。
会社まで辞めて身一つで隆好を追いかけたりしたら、それこそ隆好の重荷となってしまうじゃないか。
隆好の状況は今は全く分からない状態で。元気でいるのか新しい生活には慣れたのか、友人は出来たのか新しい恋人は……。
考えだせばきりがない位頭の中はすぐに隆好のことでいっぱいになってしまうのに。
どれひとつとして私には知る術が無い。
「真島、副社長が呼んでる」
「はい」
深山さんから声をかけられ芽衣の元から逃げるように席を離れ、副社長室を目指した。